【ベトナム】三菱マテリアル、マサン資源に10%出資[鉄鋼](2020/10/28)
三菱マテリアルは26日、ベトナムでタングステン事業を展開するマサン・ハイテク・マテリアルズ(MHT、旧マサンリソーシズ=MSR)への出資を発表した。第三者割当増資の引き受けの最終契約書を締結。出資額は9,000万米ドル(約95億円)で、出資後の持ち分比率は10%となる。これにより、成長の柱の一つに掲げるタングステン事業の拡大を加速させる。
出資は、11月までに完了する予定。完了後は、三菱マテリアルがMHTの2番目の主要株主となる。
MHTは、ベトナムに生産設備を有するほか、今年6月に子会社を通じて買収したドイツの鉱産大手、HCスタルクのタングステン事業が持つドイツやカナダ、中国の生産・リサイクル設備を活用した競争力の高い事業展開を進めている。また、世界有数の埋蔵量を誇るヌイファオ鉱山(ベトナム北部タイグエン省)の権益や、鉱石から高付加価値タングステン化合物への製錬能力を有している。
三菱マテリアルは、出資を通じた長期的な戦略提携関係の構築で、グローバル拠点を生かした共同事業の立ち上げや、高品質タングステン粉末製造に関する技術提携などで協業を目指す。同社の広報担当者によれば、リサイクル拠点の相互活用などを実施する計画だ。超硬工具の原料であるタングステンの安定調達を図っていく。
MHTは2010年にベトナム・ホーチミン市で設立した。資本金は9兆8,924億ドン(4億2,690万米ドル)。19年の売上高は4兆7,601億ドン、うちタングステン事業が2兆8,981億ドンと6割以上を占めた。