【マレーシア】建設業の操業再開、1.9万社申請も認可1割[建設](2020/04/24)
マレーシア公共事業省は22日、活動制限令中に建設業界から計1万9,077社の操業許可申請があったことを明らかにした。貿易産業省(MITI)の審査では、申請全体の4割近い7,387社が却下され、これまでに認可が下りたのは1割弱の1,856社にとどまっている。
23日付ニュー・ストレーツ・タイムズによると、ファディラ・ユソフ公共事業相が、MITIによる建設業界の認可状況を明らかにした。活動制限令中の建設業者の操業については、公共事業省傘下の建設産業開発局(CIDB)や住宅・地方政府省、職業安全・健康局(DOSH)、排水・かんがい局(DID)などの省庁が政府状況を監視しているという。
政府は、活動制限令「フェーズ3」(今月15~28日)で建設事業を認めているが、事業再開の許可を得た企業の従業員には、全国の社会保障機構(SOCSO)指定の診療所での検診を義務付けている。
マレーシア・ブミプトラ下請け業者協会(PKBM)のアズマン・ユソフ会長は、「操業が認められた1,856社の従業員がSOCSO指定の診療所に一斉に駆け込めば、新型コロナウイルスの感染リスクも高まる」と警戒。「外部委託の医療機関での検査を認めるべき」と提唱した。
同会長はまた、フェーズ3で操業が認められた登録カテゴリーG1、G2に属する建設業者のうち、「G1の登録企業だけで3万社ある」とし、今後、事業を再開できる企業が増えた場合、従業員の検査待ちによる時間のロスにも懸念を示した。
■検査待ち従業員に新規制か
マレーシア建設業協会(MBAM)のフー・チェックリー会長は23日、NNAに対し、「全ての従業員の検査を終えなくとも、事業を再開できるよう政府に申し入れた」と明らかにした。各企業は、検査の順番を待つ従業員の隔離措置も必要となるため、政府が近くSOCSOを通じて標準作業手順書(SOP)の追加事項を発表するとの見通しを示した。
一方、地場建設大手ビナ・プリ・ホールディングスのエグゼクティブディレクター、マシュー・ティー・カイウン氏は、「操業許可を申請した複数の事業のうち、2件が却下された」と明かし、「審査が遅く、一部の建設会社は顧客への納期の遅れを懸念している」と語った。
■感染者出ればプロジェクト停止
建設事業が再開となっても、建設会社にはコストの不安がつきまとう。ファディラ公共事業相は22日の会見で、事業を再開する建設会社の最重要事項として、▽新型コロナウイルス検査で従業員が陰性であることの確認▽もし感染者が出た場合、入院費用を含む全ての医療費を会社が負担すること――を挙げた。
ファディラ氏は「従業員の陽性が1人でも確認されれば、プロジェクトは中止になる」と述べ、「政府によるSOPに従うことが最善だ」と念押しした。
一方、MITIも同日、公式ツイッターで公共事業省とCIDBが、建設企業向けに策定した規定5項目を公表。内容は、▽出社できる従業員数は通常の50%以下▽従業員の交通手段は会社が提供し、車内では社会的距離を保ち、送迎前後で車両の消毒を徹底▽当該企業のみならずバリューチェーン全体によるSOPの理解と順守▽政府が開発した新型コロナ向けアプリ「マイスジャテラ(www.malaysia.gov.my/portal/content/30942)」を通じた従業員との連絡網の確立▽CIDBやその他関連機関による従業員宿舎ガイドラインの順守――となる。