【タイ】穴吹興産、タナシリと住宅開発[建設](2020/06/15)
総合不動産会社の穴吹興産(高松市)は、タイの不動産開発タナシリ・グループとの合弁により、同国で住宅開発を開始する。第1弾として、首都バンコク北郊ノンタブリ県で、6億バーツ(約21億円)を投じて計90戸前後の一戸建て集合住宅を供給する。すでに用地の造成工事を完了しており、近く建物工事を始める。数期に分けて開発を進める方針で、年内に第1弾の引き渡しを始める計画だ。
穴吹興産の担当者によると、1戸当たりの面積は平均160~170平方メートル。購買層には若年からシニアまでさまざまな層を見込むが、建設場所がチャオプラヤー川に架かるマハー・チェサダーバディンタラーヌソン橋やワットチャルームプラキアット寺院の近隣で、王立公園にも隣接していることから、休日の散歩や運動などを希望する健康志向の消費者の需要が考えられるという。
穴吹興産とタナシリは今年2月、住宅を中心とした不動産開発を手掛ける合弁会社アナブキ・タナシリ(タイランド)を設立した。資本金は5,000万バーツ。出資比率はタナシリが50%、穴吹興産が49%で、他に鴻池グループで工場などの設計・施工を手掛けるタイ鴻池が1%を出資している。
担当者は、タナシリをパートナーに選んだ理由として、タナシリが地域ごとに住宅開発のコンセプトを変えるなど、地域密着型のきめ細かな住宅供給を志向していることが、穴吹興産の事業方針と合致したと説明。アナブキ・タナシリ(タイランド)を通じた第2弾以降の事業も視野に入れるが、まずは第1弾で市場の反応を確認する意向だ。
穴吹興産は、タイ以外にインドネシアでも住宅建設を進めているほか、ベトナムにも住宅事業に向けた駐在員事務所を設置し、市場調査を進めている。日本で培ってきた地域密着型の住宅供給のノウハウを活用し、東南アジアでも積極的な事業展開を試みる。
同社は1964年設立。日本では「アルファ」ブランドのマンション分譲のほか、高齢者専用賃貸などのシニア向け住宅を企画開発している。