【ベトナム】大和ハウスの物流施設、1棟目が完工[建設](2019/07/16)
大和ハウス工業は15日、ベトナム南部ドンナイ省で開発する物流施設「DPLロックアンビンソン」の1棟目の落成式を開催した。来年に開所する2棟目と合わせた投資総額は33億円。日系物流企業などに貸し出し、経済成長で荷動きが盛んなホーチミン市近郊の倉庫需要に応える。
ロンタン区のロックアンビンソン工業団地内の同施設は、複数の物流企業が入居できるマルチテナント型。ディーエイチ・ロジスティック・プロパティー・ベトナムが運営する。1棟目の敷地面積は6万6,000平方メートルで、延べ床面積は3万6,000平方メートル。賃貸面積は3万2,000平方メートルで、最大6テナントとなる。
大和ハウス工業の浦川竜哉常務執行役員はNNAに対し、「ベトナムではまだ珍しい両面バースで、自然の傾斜によりそれぞれ低床、高床に分かれている」と説明した。低床側からはトラックやフォークリフトの出入りが可能。高床のプラットフォームの高さは1.4メートルと大型トラックに適しており、高さを調整するドックレベラーも備える。
DPLロックアンビンソンは、ホーチミン市から約40キロに位置し、「最寄りにロンタン国際空港を建設する計画があり、同空港が2025年に稼働すれば利便性がさらに増す」(浦川氏)。同国の経済活動が集中するホーチミン市周辺の物流企業のニーズに応えていく。
■2棟目を来年開所、面積2倍に
大和ハウスは、来年2月には隣接地に1棟目と同規模の2棟目(敷地面積6万6,600平方メートル、賃貸面積3万平方メートル)を着工する計画だ。同年10月の完工、11月のテナント入居を予定する。
DPLロックアンビンソンの開発のため、工業団地の事業主体VRGロンタン投資開発と、東京ドーム3個分に相当する土地13万2,600平方メートルの賃貸借契約を結んでいる。契約期間は60年まで。双日、神鋼環境ソリューションと合弁で開発する近隣の「ロンドゥック工業団地」と合わせ、ベトナム南部の産業を支援していく。
■日本とアジアのコールドチェーン整備へ
大和ハウスグループはベトナムのほか、タイ、インドネシア、マレーシアでも物流施設を開発しており、「シンガポールとオーストラリアでも計画進行中」(浦川氏)だ。各国の物流施設事業の強化は、食料自給率が低下する日本の補完にもつながるとみている。
浦川氏によると、DPLロックアンビンソンは、マイナス60度までの温度管理が可能。マルチテナント型でありながら、10~25度、0~10度などと、顧客のニーズに合わせて対応できる。各国のコールドチェーン整備に寄与することで、冷凍食品などの日本輸送が円滑化するようにしたい考えだ。
大和ハウス工業は今年3月、北陸地域の物流大手、若松梱包グループ4社を子会社化していた。同グループの強みを、東南アジア諸国連合(ASEAN)のコールドチェーン展開でも生かしていく。
日本のカロリーベースの食料自給率は低下基調となっており、16、17年度はともに38%となった。アジアなどからの輸入食品の存在感が高まっている。