【インドネシア】旅客機がジャカルタ沖で墜落、62人が搭乗[社会](2021/01/11)
インドネシアの民間航空会社スリウィジャヤ航空の国内線旅客機が9日午後、首都ジャカルタ郊外のスカルノ・ハッタ国際空港を離陸した直後に消息を絶ち、ジャカルタ北方沖に墜落した。乗客乗員62人が搭乗していた。捜査当局は墜落地点を既に特定しており、フライトレコーダー(飛行記録装置)などが入ったブラックボックスの回収を急ぐ。
同機は、西カリマンタン州ポンティアナック・スパディオ空港行きのスリウィジャヤ航空SJ182便。使用機材はボーイング737―500。子ども7人と幼児3人を含む乗客50人と、乗員12人が搭乗していた。在インドネシア日本大使館によると、日本人の乗客はいなかった。
墜落現場はジャカルタ北沖の諸島地域プラウスリブの海域。同機はスカルノ・ハッタ空港を午後2時36分に離陸後、同40分に管制塔が同機が指示した航路とは違う北西方向に進んでいることを確認、操縦士と連絡を取ろうとした直後に交信が途絶えた。離陸からわずか4分後だった。
世界中の航空機を追跡する民間ネットワーク「フライトレーダー24」によると、機体は高度約3,300メートル付近から急降下し、1分以内に墜落したとみられている。
■ブラックボックス回収へ
捜査当局は10日、墜落現場の海域で乗客のものとみられる衣類や救命胴衣、遺体の一部を収容し、機体番号が打刻された機体の一部とみられる破片などを回収したと発表した。機体の一部は、水深23メートルの海中から発見したという。フライトレコーダーなどが入ったブラックボックスからとみられる信号を探知したことも明らかにした。
捜査当局の関係者は、事故機を海中から引き揚げるための大型クレーンを配備する必要があると説明。事故調査を手掛ける国家運輸安全委員会(KNKT)のスルヤント委員長は、ブラックボックスの位置を特定したと表明、近く回収できるとの見通しを示した。
地元メディアによると、スリウィジャヤ航空のジェファーソン社長は9日、事故機について「出発前の状態に問題はなかった」と表明した。国家運輸安全委員会の関係者は、事故原因の調査を進めているとした上で、「機体使用年数が25~26年であっても、基準通りに整備されていれば問題はないはずだ」と述べた。
ポンティアナックのスパディオ空港には、事故の一報を受けて乗客の家族が大勢詰めかけた。ジョコ・ウィドド大統領は10日、墜落事故について深い哀悼の意を表明。9日夕方には事故の一報を受け、ブディ運輸相はじめ捜査当局に対し、乗客の救助を含め迅速に捜査活動を行うよう指示したと述べた。
インドネシアの航空事故では、2018年10月、格安航空会社(LCC)ライオンエアのボーイング737MAX8が離陸直後にジャカルタ北東沖に墜落、乗客乗員189人が死亡した。