【マレーシア】KL中心の3Qオフィス賃料、4年ぶり上昇[建設](2019/12/04)
英不動産サービス大手ナイトフランクは3日、マレーシア・クアラルンプール(KL)中心部の高級オフィス賃料が、2019年第3四半期(7~9月)は前期から2.1%上昇したと明らかにした。国際金融区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TRX)」に国内一の高層ビル「エクスチェンジ106」(全高492メートル)の低層部分などが開業し、全体の平均賃料を押し上げた。上昇は15年第2四半期(4~6月)以来、17期ぶり。
ナイトフランクによれば、KL中心部の賃料は前年同期から1.5%上昇した。賃料が上昇したのは、TRXにエクスチェンジ106の低層部分とムナラ・プルデンシャルが完成したことが要因。ナイトフランク・マレーシアのテー・ヨンケン氏はエクスチェンジ106について、「首都の新たなアイコンで、オフィスは高品質な分、賃料も高い」と指摘した。ただ、KL中心部ではオフィスビルが供給過剰なため、価格競争により短中期的に賃料は下落するとの見通しを示した。
ナイトフランクが発表したアジア太平洋地域20都市の高級オフィス賃料に関するリポートによると、同期のKL中心部の平均賃料は1平方メートル当たり月額15.2米ドル(約1,659円)、サービス料や税金を含めた実効賃料は同17.9米ドルだった。対象20都市の中では賃料、実効賃料ともに最安値で、賃料は2番目に低いインド・ベンガルール(バンガロール)の中央商業地区(CBD)より5.3米ドル、実効賃料はフィリピン・マニラより6.6米ドルそれぞれ低かった。
ナイトフランクのリポートで、アジア太平洋地域の20都市全体の賃料は前期から0.1%上昇した。都市別で前期比の上昇率が最も高かったのはベンガルールの8.0%。同国のデリー首都圏が3.0%で続いた。一方、反政府・民主化デモが続く香港はマイナス5.6%で、下落幅が最大。東京がマイナス4.3%と下落幅が大きかった。東南アジアでは、タイ・バンコクが1.2%、シンガポールが0.6%、フィリピン・マニラが0.4%それぞれ下落した。
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