【フィリピン】中国河鋼、地元大手とミ島に一貫製鉄所建設[鉄鋼](2018/12/17)
中国製鉄大手の河北鋼鉄集団(河鋼集団、HBIS)とフィリピンの鉄鋼最大手、スチール・アジア・マニュファクチャリングは、ミンダナオ島東ミサミス州で年産能力800万トン規模の一貫製鉄所の建設に乗り出す。投資額は44億米ドル(約4,987億円)の予定で、フィリピンの貿易産業省は「産業分野に対する中国企業の投資額として過去最大」と説明している。
同省は14日付の声明で、両社と、中国北京に拠点を置く投資ファンドの匯力投資基金管理、東ミサミス州フィビデック工業団地を運営するフィビデック工業開発公社の4者が、13日に建設に関する覚書(MOU)を締結したと発表した。
声明によると、工場を建設するのは同工業団地第5区画にある面積305ヘクタールの敷地。工事は2期に分けて進められ、第1期では30億米ドルを投じ、熱間圧延鋼を年間450万トン、厚板、薄板用の圧延素材(スラブ)を65万トンを生産できる一貫製鉄所を完成させる。工事には港湾施設などの整備も含まれている。第2期では14億米ドルを投入し、年産能力を800万トンに引き上げる計画だ。工期は3~5年の予定。雇用創出効果は直接雇用で2万人、間接雇用で6万5,000人に達する見込みだ。
ロペス貿易産業相は、「フィリピンを2030年までに高品質な鉄の主要生産国にするという目標に寄与するだろう」と述べ、事業がフィリピンの鉄鋼生産能力を引き上げ、関連製品の生産拡大につながることに期待を示した。
15日付インクワイラーによると、投資委員会(BOI)のロドルフォ委員長は「各社は約2週間前にBOIに対して認可を申請したが、現時点ではまだ審査を進めている段階」と説明。現在の投資規則に従って事業が認可された場合、第1期工事分は2021年後半に稼働するとの見方を示した。
河北鋼鉄は中国鉄鋼業界の最大手グループの一角で、17年の年間売上高は3,068億人民元(約5兆円)。世界で約12万人の従業員を抱え、自動車や家電用などの鋼板を得意としている。